この記事では、猫ちゃんの食の悩みに多い『ご飯を食べない…、でもチュールは食べる』、『チュールしか食べない』といった問題に、その理由や原因と対策方法についてまとめています。
原因を調査していくと健康な猫ちゃんがこのようになってしまうのは、
- 飼い主さんがチュールを与えすぎている
- 猫ちゃんが今食べているフードや食事環境に原因がある
ことが大半のようです。
チュールしか食べないので栄養不足が心配、栄養のあるご飯をちゃんと食べてほしいと願う飼い主さんは、こちらの記事を是非チェックしてみてくださいね。
なぜ猫ちゃんがご飯を食べないけどチュールは食べるのか?その理由を解説!
最初に、なぜ猫ちゃんが『ご飯を食べないのにチュールは食べるのか』、その原因から探っていきます。
①:猫ちゃんがご飯を食べないのは、口の中に異常があるから
猫は意外と口の中に疾患を抱えている場合が多いんです。
口内炎や歯周病といった口内トラブルが原因で、カリカリのような固い食べ物を嫌がってチュールしか食べないことにつながっているかもしれません。
ですが粘性のあるチュールが歯や歯茎にこびりつき、口内トラブルを悪化させる悪循環に陥ることもあります。
口内トラブルのある猫ちゃんは口臭のキツさや歯茎のただれで判断できるので、気になる場合は獣医師さんにチェックしてもらいましょう。
お口の中も健康なら、元気にカリカリを食べてくれるかもしれませんね。
②:猫ちゃんがご飯を食べないのは、体調不良が原因だから
体調不良や病気が原因でチュールしか食べないのであれば、食欲不振以外に下痢や嘔吐、寝てばかりといった普段と違う行動がみられるので注意深く見てあげましょう。
まだチュールだけでも食べてくれるなら病気の症状も軽いほうかもしれません。
調子の悪さが見られご飯を全く食べない状況が丸一日続くようなら、早めに獣医師さんに診てもらいましょう。
③:猫ちゃんがご飯を食べないのは、年齢や季節が原因だから
高齢の猫ちゃんは食が細くなってあまり食べなくなり、嚙む力も弱まるのでチュールのような柔らかいものを好むようになります。
でもチュールだけでは十分な栄養を摂取できないので、ご飯を食べやすくする工夫も必要となりそうです。
また猫には食欲周期があり、一般に冬は食欲旺盛で夏は食欲不振になりがちです。
食欲不振の季節はなるべく栄養が取れるフードの中でも食いつきの良いフードを選んだり、食いつきを良くする工夫をしてあげましょう。
人間の生活サイクルも季節ごとに変わりがち(引っ越しや部屋の配置換え)で、そのことが猫ちゃんのストレスとなって食欲不振になる場合も考えられます。
飼い主さん共々、ストレスをかけない環境づくりも大事ですね。
④:猫ちゃんがご飯を食べないのは、飼い主がチュールを与えすぎているから
きっと一番多い原因はこれなのではないかと思います。
愛猫が欲しがるから欲しがる分だけチュールを与えてしまう…、気持ちは十分わかるんです。
『喜んで飛びついてくるから、つい…』、『ちょっとしたご褒美に…』、『新しい味を食べさせたくて…』、これって改めて考えると猫ちゃんではなく飼い主さんの都合なんですよね。
良かれと思ってチュールを多く与えたことでご飯に興味がなくなって食べなくなる…、必要な栄養が不足して結果として愛猫ちゃんの健康を損ねてしまうことになるかもしれません。
愛猫ちゃんに健康で長生きしてほしいなら、飼い主さん自身が自制して『チュールを欲しがっても必要以上に与えない』、きちんとご飯を食べさせるしつけをすることが猫ちゃんへの本当の愛情なんだと思います。
チュールを与えるタイミング等は次の項でも紹介していきます。
⑤:猫ちゃんがご飯を食べないのは、環境やご飯そのものに原因があるから
猫ちゃんがご飯を食べないのは、本当にご飯が美味しくない(猫ちゃんに合っていない)ことやご飯が食べにくい環境にあることも大きく関係してきます。
猫は繊細で神経質な生き物なので、食事をするのにストレスを感じる環境では食べてくれません。
また市販のキャットフードは一見同じようでも、原材料や成分が様々で好き嫌いが分かれやすいものです。
猫ちゃんに適した食事環境づくりと猫ちゃんが喜んで食べてくれて栄養満点なフード選びは特に重要ですね。
ご飯の改善や食べやすい環境づくりは重要なポイントなので、この後の項でも深堀りしていきます。
チュールしか食べない猫ちゃんに、チュールを与えるならどんな時?
猫ちゃんが喜ぶトロッと食感、口に広がる素材のうまみ…、チュールはおやつとして美味しすぎるんです。
『欲しがればチュールをもらえるから、ご飯はいらない!』、猫ちゃんにそう思われたら軌道修正は簡単ではありません。
チュールと猫ちゃん(飼い主さん)との最適な距離感を決める必要があるでしょう。
極論を言えば、チュール(おやつ)はいらない!
極論、栄養のある食事をとっていればチュール(おやつ)は必要ないので、チュールを一切あげなくても全く問題ありません(人間だって一緒です)。
まずは猫ちゃんにご飯をしっかり食べてもらうには、チュールを遠ざけるのが一番です。
でもチュールは飼い主の手(パッケージ)から直接食べてくれるので、コミュニケーションツールの側面を持っていることも事実ですから、チュールを全くあげないのもさみしいですよね…。
チュールをあげるなら、曜日を決めて少量与える
『1日4本を目安におやつとしてお与えください』、チュールパッケージの裏面にこう書いてありますが、1日4本は多すぎです。
経験上、本当に4本与えていたら依存してご飯に興味を示さなくなります。
与えるなら週1~2回、曜日を決めて1本与える程度がちょうど良い目安と考えます。
『毎日必ずチュールをもらえる』ではなく、忘れた頃にチュールがやってくるくらいでよいと思います。
チュールはしつけの報酬(ご褒美)として与える
チュールは猫ちゃんが何かイヤなことを頑張った時のご褒美として与えるのがベストではないでしょうか?
- 動物病院に連れて行った後
- おとなしくシャンプーをした後
- おとなしく爪切りした後
ここで大事なことは、
- 嫌なことを頑張った直後に
- ほめながらチュールを与える
ということですね。
時間が空いてからでは、ほめたりご褒美をあげても猫ちゃん的には『何に対して褒められたのか分からない』ものです。
『イヤなことを頑張ったからチュールがもらえた』体験とすることが、良いしつけにつながります。
どうしてもチュールくらいしか食べられないときに与える
体調が悪い時など、どうしてもご飯が食べられないときの栄養補給としてチュールを与えるのは仕方ない事です。
その際は『毛玉配慮』や『腎臓・下部尿路ケア』、夏バテ時に『水分補給用』等その時々の症状に適した機能性チュールがあるので、うまく活用していきましょう。
また少しでも栄養をしっかり与えたい飼い主さんは、『総合栄養食』チュールを選ぶ方も多いですね。
必要に応じた栄養補給として、チュールは賢く利用していきたいですね。
猫ちゃんがご飯を食べない問題の対策①:食べてくれる環境を整えよう!
まずは食事そのものの前に『食事をする環境』から見直しをしていきます。
せっかくの美味しいご飯を『食べたくない』と思わせているのは、食事の場に原因があるのかも知れません。
①:静かで落ち着いた場所で食べさせる
猫ちゃんの食事スペースが人の往来が頻繁な場所だと、周りが気になって食べることがストレスに感じます。
人の行き来が少ない静かな場所に猫ちゃんの食事スペースを移すだけでも、ご飯を食べてくれるようになるかもしれません。
また、集中して食事しているときに”ちょっかい”をかけられるとイラっとくるのは人間も同じですよね。
猫ちゃんの食事中にコミュニケーションをとるのはなるべく避けましょう。
②:食器に問題はないか、見直しをする
猫は清潔好きで食器の汚れやニオイなどにも敏感です。
食器はこまめに洗って清潔に、ニオイがこびりついて取れない食器などは交換してあげましょう。
陶器製の食器が重さもあって安定し、PC製よりニオイ残りも少ないのでお勧めです。
また高齢の猫ちゃんは、低く前かがみの姿勢で食べるのがキツくなってきます。
食器の高さも床から10~15cm程度になる脚高のものが良いですね。
猫用の食器は下記のようなものが人気があるようです。
③:新鮮な水をいつでも飲めるようにする
猫は水分をあまり取りたがらない生き物で、猫の疾患に多い腎臓病や尿路結石も水分不足が原因の一つともいわれています。
ただでさえあまり水を飲みたがらないのに飲み水が汚れていたら、もっと水を飲まなくなるでしょう。
飲み水はフードの横に、常に新鮮な水が飲めるように準備してあげましょう。
また、気が向いたらいつでも水が飲めるようになっている環境がベストです。
猫ちゃんの興味を引く水の流れるタイプの給水機を置いておくと、喜んで水を飲むようになるかもしれませんね。
猫ちゃんがご飯を食べない問題の対策②:ご飯を見直ししてみよう!
猫ちゃんのご飯は栄養面やコスパを考えたら『カリカリ(ドライフード)』がベストな選択です。
ですが、そのカリカリがお気に召さない猫ちゃんが『ご飯を食べない』猫ちゃんの大半なのです。
どうするとご飯を食べない猫ちゃんがカリカリを食べてくれるようになるのか、以下に解説していきます。
①:現在のご飯を食べやすくする工夫
ちょっと怖い話ですが、野生のトラやライオンが獲物を捕食した状態を想像しましょう。
『生暖かい血がしたたる、柔らかい草食動物の肉』のイメージです。
同じネコ科動物ですから、体温程度の温かさやウェット感ある弾力を持った柔らかい『肉』の感じにフードを近づけることで、野生の狩猟本能を刺激して猫ちゃんは喜ぶことでしょう。
栄養とコスパを考えたら、カリカリ(ドライフード)だけでそれを望むのは正直難しいです。
ですがドライフードでも、『レンチンして人肌程度に温める』『ぬるま湯でカリカリをふやかす』などの工夫で、においも引き立ち以前よりご飯を食べてくれるようになります。
また噛む力の弱い子猫や高齢猫、口内トラブルをもった猫ちゃんには、カリカリが大きすぎるようなら小さめに砕いてあげるのも効果的ですよ。
②:味付けやトッピングの工夫
前項の捕食した動物のイメージから、ドライフードよりウェットフードのほうが猫ちゃんは喜びます。
ですが水分を多く含むので食べた量に対して必要な栄養が足りないことが多く、ウェットフードだけを食べさせるのはあまりお勧めできません(コスパも悪いです)。
そこで多くの方が、カリカリにウェットフードを混ぜて与える方法を試していますね。
ポイントは、段階的にウェットフードの量を減らして最終的にカリカリだけで食べてくれるようにすることです。
トッピングはゆくゆく少量で済みますが、開封後のウェットフードは使いまわすと鮮度が落ちて余計猫ちゃんが食べなくなるので注意しましょう。
ウェットフード代わりにトッピングとしてチュールを使うのも一つの手ですが、ドライフードにしっかり混ぜ合わせてから与えないと一緒に食べてくれないので要注意です。
賢い猫ちゃんには表面のチュールだけうまく舐めとって食べる子もいます。
ウェット系でトッピングしたご飯は長持ちしないので、まずは少量食べきれる分だけ与えましょう。
また、水分量の少ないふりかけや素材系おやつをトッピングして与えるのも有効ですよ。
香りの強いものが多いので、食いつきがよくなると評判のようです。
Amazonや楽天では、下記のようなトッピングが売れ筋上位で見かけますね。
③:ご飯そのものを見直す(食いつきの良いフードへ変更)
今食べているご飯(カリカリ)自体がお気に召さないのであれば、カリカリそのものを美味しくて栄養あるものに変えるのが最短距離かもしれません。
猫ちゃんに永く健康でいてほしいなら栄養バランスの取れたご飯を適正な量だけ与えること、これが最適解と考えます。
チュールやおやつではなく、『ご飯』をしっかり食べて元気に過ごしてほしいですよね。
そのためには
※『総合栄養食』とは、そのフードと水のみで猫に必要な栄養素をすべて賄えるフードのことです。
総合栄養食クラスのフードは比較的高価なものが多いですが、栄養価も高いので少量で適正量になります。
そのうえで健康を維持する栄養素が十分に取れるので病気のリスクも減るのであれば、結果的に安価なフードより高コスパになるはずです。
そのなかでも、特に味や猫ちゃんの食いつきの良さから選ぶならグランツやモグニャン
あたりが好評ですね。


グランツは初回価格が安く始めやすいことと味変のしやすさが、モグニャンは猫ちゃんの喜ぶ香りに白身魚主体の味とヘルシーさが好評でおすすめしやすい2点です。
プレミアムフードの中でも食いつきの良さで高評価の2商品なので、チュールとは違う新しい美味しさの発見になるかもしれません。
もし猫ちゃんの食事を『チュールだけ』にしたら、一日何本必要?
猫ちゃんがチュールしか食べない…、なら毎日の食事を『チュールだけ』にしたらどうなるのでしょう?
全くお勧めしませんが、お試しで算出してみました。
メーカーのいなばペットフード(株)は『一日4本までを目安に』と言っています。
Q:なぜ目安が4本/日なのですか?A:おやつは、猫ちゃんの1日に必要な総エネルギー量の約20%以内にあたる量を上限とすることが定められています。
また、猫ちゃんの種類や体重等、普段の生活によって必要な総エネルギー量が違う為、一般的な猫ちゃんの1日に必要なエネルギー量の20%を上回る事の無い様に1日4本としております。
成猫(体重4kg)に必要な1日の栄養基準は、AAFCO(全米飼料検査官協会)やFEDIAF(欧州ペットフード工業会)のガイドラインを参考にすると、以下のようになります。
エネルギー:約200kcal
タンパク質: 約12g(最低基準)
脂質: 約5g(最低基準)
ちゅーる総合栄養食1本あたりの栄養素(1本あたりの含有量)は、
タンパク質: 約2.1g(7%)
脂質: 約1.14g(3.8%)
これをもとに、1日に必要なチュールの本数を算出すると次のようになります。
200kcal ÷ 13kcal ≒ 15.4本(約15~16本)
12g ÷ 2.1g ≒ 5.7本(約6本)
5g ÷ 1.14g ≒ 4.4本(約4~5本)
このように必須栄養素でみると6本/日、エネルギーで見ると15本/日となりました。
あくまでタンパク質・脂質やエネルギーがこの本数で足りるというだけで、その他微量栄養素の不足や口内トラブルの誘発といった問題から、チュールしか食べない生活は健康を損なうことになるでしょう。
次に食事にかかるコスト面を考えた場合、
『ちゅーる総合栄養食60本入り』の価格を¥2,000と仮定して、1か月にチュールにかかる金額は
- エネルギー基準(15本)/日の場合:¥15,000/月
- タンパク質基準(6本)/日の場合:¥6,000/月
一般に市販されているプレミアムフード(総合栄養食)1.5kgが¥5,000/月なので、チュールしか食べない猫ちゃんのほうがはるかに食費がかかることがわかりますね。
チュールはあくまで『おやつ』、ご飯と切り分けて考えることが飼い主さんにとって重要なんですね。
まとめ:猫ちゃんがご飯を食べないことの放置は絶対ダメ!食べてくれる工夫をしましょう!
こちらの記事では
- 猫ちゃんがご飯を食べないけどチュールは食べるその原因
- チュールしか食べない猫ちゃんへのチュールの与え方
- ご飯を食べない猫ちゃんにご飯を食べてもらう対策
- チュールだけを与えた場合の必要量とその弊害
といった内容でお届けしました。
『うちの子はご飯は食べないけどチュールは食べる…』、『うちの猫ちゃんはチュールしか食べない…』、猫ちゃんの食の悩みで常に上位に入る話題なので、今回ピンポイントで特集記事としてみました。
本サイトはチュールを敵視しているわけではなく、『チュールしか食べない猫ちゃん』を栄養価の高い『”主食をきちんと食べられる猫ちゃん”にしてあげてほしい』というのが一番の願いです。
ご褒美は”時々もらえるからご褒美”、チュールをしつけやごほうびにうまく活用してほしいと思っています。
そんなご飯を食べない猫ちゃんへのきっかけ作りと大事な栄養補給に、厳選した下記のフードを紹介してみました。
『ご飯をちゃんと食べてほしい』という気持ちは、猫ちゃんに『元気で長生きしてほしい』という飼い主さんの願いです。
大事な栄養を必要十分に与え、猫ちゃんに健康で長生きしてもらうためにも食事の見直しをしていきたいですね。